あっと言う間に父の一周忌が過ぎた。
布団の中で当時の事が鮮明に浮かんできた。

握った手の脈が異様に早くなってて、それはその「合図」なんだと
ヘルパーさんから聞いていたが、いよいよその時が訪れようとしているのに
なんだかドラマでも見ているかのような気分で、ただ手を握り続けていた。

やがて脈が無くなり呼吸も止まったが、家族皆が今目の前で起きている事について
理解しきれていない状態だった。

葬儀も納骨も新盆も済ませたのに、何故かまだ病院にいるような気がしていたのは
自分だけではなかったようだ。

もうどこにも父はいないという事はとっくに分かっているのだが。
一年経って、そんな事をぼんやり考えた。

この一年はあまりにもいろんな事があり過ぎた。
そして未だに一番大事な問題が解決できないまま、また振り出しに戻った。
大震災の影響で振り出しどころか、マイナスからのスタートになるけど。

自分の事なのに、いい歳して正直どうしたらいいのか分からない。
こんな状況なのにまだどこか他人事のような、変に冷静な自分が自分を見ている。

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